アーカイブ: 4月 2025

安全で精密なインプラント治療のために 〜CT撮影の重要性〜

インプラント治療は、失った歯の機能と見た目を回復できる先進的な治療法です。しかしながら、その治療には人工歯根を顎の骨に埋め込む外科的処置が伴います。つまり、治療の成否には、顎の骨の状態を正確に把握することが不可欠です。
その診断において、非常に大きな役割を果たすのが「歯科用CT」です。従来のレントゲンでは見えなかった情報を立体的に把握できるこの技術は、現在のインプラント治療に欠かせない存在となっています。

CTで何がわかるのか?
CT(Computed Tomography)を使うことで、次のような情報を得ることができます。
まず1つ目は、「骨の量と質」の把握です。インプラントを固定するには、顎の骨にある程度の高さと厚みが必要です。CTでは、骨の断面を確認しながら、どの位置なら安全に埋入できるか、また骨造成が必要かどうかを判断することができます。
2つ目は、「神経や血管の位置」の確認です。たとえば、下顎には「下歯槽神経」という重要な神経が通っており、これを傷つけてしまうと唇やあごのしびれが残る可能性があります。CTではこの神経の位置を立体的に把握できるため、神経を避けて安全にインプラントを埋入できます。
また、上顎のインプラント治療では「上顎洞」という空洞との距離を確認する必要があります。CTを使うことで、この上顎洞との位置関係を事前に把握し、必要に応じてサイナスリフトなどの処置を計画することができます。

CTとレントゲンの違いとは?
従来のパノラマレントゲンは、顎全体の状態を大まかに把握するには適していますが、2次元の平面画像であるため、情報には限りがあります。奥行きや厚み、立体的な構造は正確に見えず、重なってしまう部分も多く存在します。
一方、CTは立体的に画像を再構成することができ、骨の厚み、角度、深さ、神経の走行までを細かく確認できます。つまり、CTはインプラント治療に必要な詳細な診断情報を提供できる唯一の手段なのです。

安全性と成功率を高めるために
CTを活用することで、インプラントの埋入位置や角度、深さを精密に計画できるようになります。治療前にCTデータをもとにシミュレーションを行い、その設計通りに埋入できる「ガイドサージェリー」も活用すれば、より安全で正確な治療が可能です。
このような事前準備を行うことで、手術中の予期せぬトラブル(たとえば神経損傷や骨の破損など)を防ぎ、治療後の経過も安定しやすくなります。つまり、CT撮影はインプラントの成功率を高め、長持ちする治療につながる大きな要素と言えます。

CT撮影と被ばくの心配
CTと聞くと「被ばく量が多いのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。しかし歯科用のCTは、医科用CTと比べて撮影範囲が非常に狭く、被ばく量も抑えられています。たとえば、飛行機で数時間移動した際に受ける自然放射線と同程度とも言われており、医療上のリスクはきわめて低いと考えて問題ありません。

治療の“見える化”で、安心と納得を
CTを使った診断では、患者さん自身も画面上で自分の骨や神経の状態を見ることができます。「どこにインプラントが入るのか」「どれくらい骨があるのか」といった情報が“見える化”されることで、治療に対する安心感と納得感が大きく向上します。
説明が不十分なまま進められるのではなく、画像を共有しながら一緒に治療方針を考えられる――このプロセスこそが、患者さんにとっても満足度の高い医療体験へとつながるのです。

まとめ:CTは、安心・安全なインプラント治療のための“土台”
インプラントは、噛む力を回復し、見た目にも自然な歯を再現できる治療法ですが、それを成功に導くには、正確な診断と計画が欠かせません。そして、その診断を支える最も重要なツールがCT撮影です。
骨の状態や神経の位置、インプラントの適切な埋入場所を把握することで、術中のリスクを減らし、長期間にわたって安定した結果を得ることができます。
インプラント治療を検討している方は、「CTでの診断を行っているかどうか」も、歯科医院選びの大切なポイントとして、ぜひチェックしてみてください。それは、安心して治療に臨むための第一歩になるはずです。

 

ブランパ歯科ではCT診断も含めて初回カウンセリングを無料で実施してまいりました。

どうぞ先ずはお気軽にカウンセリングに起こしくださいませ。

 

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インプラント治療中に気をつけたいこと

〜治療を成功させるために、患者さんにできる大切な配慮〜
インプラント治療は、歯を失った部分に人工の歯根を埋め込み、機能的にも見た目にも自然な歯を取り戻す先進的な歯科治療です。その成功率は非常に高く、適切な診断と施術によって、長期的に安定した結果が期待できます。
しかし、インプラント治療は「歯医者さんに任せておけば大丈夫」というものではありません。実は、治療中に患者さんご自身が日常生活の中で注意すべき点が多く存在し、それらの行動がインプラントの予後を左右することも少なくないのです。
このコラムでは、インプラント治療を安全かつ円滑に進めるために、患者さんが気をつけたいポイントを時期別に分けて詳しく解説します。

【治療前】インプラントを受ける準備として
1. 全身の健康状態を把握しておく
インプラントは外科処置を伴うため、持病や服薬内容はあらかじめ医師にしっかり伝えることが重要です。特に糖尿病、高血圧、心疾患、骨粗しょう症、出血傾向のある病気がある方は、治療の可否や術後の回復に影響を与える可能性があります。服用中の薬についても、正確に申告しましょう。
2. 喫煙習慣の見直しを
喫煙はインプラント治療における最大のリスク要因の一つです。タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は、血流を悪化させ、インプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)を妨げる原因になります。インプラント手術を機に禁煙を考えることは、治療成功の鍵となります。
3. お口の環境を整える
虫歯や歯周病、歯石の多い状態では、インプラント周囲に感染が広がるリスクがあります。インプラント治療の前には、必ず歯周病の治療やプロフェッショナルクリーニングを受け、口腔内を清潔な状態に保つことが大切です。

【手術当日】安全に手術を受けるために
1. 食事は指示に従って
基本的に、局所麻酔を使った手術であれば、食事は手術の1〜2時間前までに済ませておくことが多いです。術後は麻酔が切れるまで飲食を控える必要があるため、詳しくは歯科医師の指示に従ってください。
2. 体調が悪いときは無理せず連絡を
発熱や風邪など、体調不良があるときには、無理に手術を受けることは避けましょう。免疫力が落ちていると感染リスクも高まります。少しでも異変を感じた場合は、迷わず歯科医院に連絡しましょう。
3. 当日は安静を心がける
手術後はできるだけ静かに過ごし、血流が大きく変化するような運動や入浴(湯船に浸かる)は避けましょう。代わりに軽くシャワーを浴びる程度に留めるのが安全です。飲酒も控えるようにしてください。

【手術後】インプラントを定着させるために
1. 傷口を触らない・強くゆすがない
舌や指で傷口を触るのは厳禁です。また、うがいも強くしすぎると血餅(けっぺい:傷をふさぐ血のかたまり)が取れてしまい、治癒が遅れてしまうことがあります。処方されたうがい薬を軽く含んで流す程度にしましょう。
2. 痛み止め・抗生剤はきちんと服用する
術後には痛みや腫れを抑えるための薬が処方されます。指示されたとおりに服用し、自己判断で中断しないことが大切です。特に抗生物質は途中でやめると感染のリスクが高まるので注意が必要です。
3. 食事はやわらかいものから
術後数日は、インプラントを埋めた部位で噛まないようにし、うどん、おかゆ、スープ、ゼリーなどのやわらかいものを選びましょう。熱すぎるもの、辛いもの、硬いものは避けることが望ましいです。
4. タバコとアルコールは厳禁
タバコは血流を悪化させ、治癒を遅らせるため、術後も完全な禁煙が望まれます。アルコールも炎症を助長したり、薬との相互作用を起こしたりする可能性があるため、少なくとも数日は控えましょう。

【治癒期間中】長くインプラントを持たせるために
1. 指示された通院スケジュールは守る
治癒が順調に進んでいるかを確認するために、数回のチェックが必要です。自覚症状がなくても、内部で炎症やトラブルが起きていることもあるため、定期的な診察は必須です。
2. 丁寧な歯磨きを習慣にする
インプラントは虫歯にはなりませんが、「インプラント周囲炎」という歯周病のような炎症が起こる可能性があります。これは、清掃不足が主な原因です。術後も、歯科衛生士の指導のもと、インプラント周囲を傷つけないように優しく、かつしっかり磨くことが大切です。
3. 無理な力をかけないように
インプラントは天然歯と違って、過度な力が加わるとダメージを受けやすくなります。硬いものを噛まない、歯ぎしり・食いしばりを防止するためにナイトガード(マウスピース)を使用するなど、力のコントロールも重要です。

まとめ:患者さんの協力が、インプラント成功のカギ
インプラント治療は、歯科医師の技術だけでなく、患者さんの協力と日々の注意によって完成される治療法です。とくに手術前後の体調管理や生活習慣、セルフケアの徹底は、インプラントを長持ちさせるために欠かせません。
「インプラントを入れて終わり」ではなく、その後のケアこそが本当のスタートです。医師からの指示をしっかり守り、口腔内の健康維持に努めることで、快適で安心できる毎日を送ることができるでしょう。

ブランパ歯科でも装着後2年間は半年毎のチェック、それ以降も年1のチェックを推奨しております。

また私は1995年以来インプラント治療を行っており、欠損補綴にはとても効果の高い治療の選択肢と考えております。

 

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美しさと強さを兼ね備えた歯科素材〜ジルコニア治療の魅力と注意点〜

近年、審美歯科や補綴(ほてつ)治療の分野で注目を集めている素材のひとつが「ジルコニア」です。見た目の美しさと優れた耐久性を兼ね備えたこの素材は、被せ物(クラウン)やブリッジ、インプラント上部構造など、さまざまな歯科治療に使われるようになってきました。
「金属アレルギーが心配だからメタルフリーにしたい」「自然な白さの歯にしたい」「長く使える素材を選びたい」――そんな声に応える存在として、ジルコニアは非常に優れた選択肢となり得ます。
今回は、ジルコニアとはどのような素材なのか、治療におけるメリット・デメリット、そして天然歯への影響なども含めて詳しくご紹介します。

ジルコニアとはどんな素材?
ジルコニアとは、「酸化ジルコニウム(ZrO₂)」というセラミック素材の一種です。もともとは工業材料や人工関節などの医療分野でも使用されてきた実績があり、その**高い強度と生体親和性(体とのなじみやすさ)**が評価されています。
歯科用として加工されるジルコニアは、白くて不透明な外観を持ち、金属を使わない「メタルフリー」の補綴治療に適しています。近年では透過性の高い“フルジルコニア”や、“ジルコニアフレーム+陶材築盛”のハイブリッドタイプなど、さまざまな製品が登場しています。

ジルコニア治療のメリット
1. 優れた強度と耐久性
ジルコニアの最大の特徴は、非常に高い硬度と耐久性です。咬む力の強い奥歯にも耐えられるため、臼歯部のクラウンやブリッジにも使用できます。また、金属に比べて摩耗や破損に強く、長期間にわたって安定した機能を保てるのも大きな魅力です。
2. 自然で美しい見た目
従来の金属製クラウンとは異なり、ジルコニアは白く、天然歯に近い自然な見た目を再現できます。審美性を重視する前歯にも使用でき、笑ったときに金属の縁が見えることもありません。
3. 金属アレルギーの心配がない
ジルコニアはメタルフリー素材であり、金属アレルギーのリスクがありません。従来の金属冠でかぶれや炎症を起こしていた方でも、安心して治療に使用できます。
4. プラークが付きにくく、衛生的
ジルコニア表面は滑らかで、プラーク(歯垢)や着色汚れがつきにくいため、口腔内を清潔に保ちやすいという利点もあります。

ジルコニア治療の注意点とデメリット
1. 非常に硬いため、天然歯への影響に注意
ジルコニアは優れた耐久性を持つ一方で、「硬すぎる」という特性もあります。たとえば、対合する天然歯(上下でかみ合う歯)に過剰な力がかかると、天然歯の摩耗や破折の原因となることがあります。
これは特に咬合力が強い方、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方などでリスクが高まります。そのため、治療前にはしっかりと咬み合わせの診断を行い、必要に応じてナイトガード(マウスピース)などで保護することが勧められます。
2. 硬すぎるがゆえに加工の限界もある
ジルコニアは加工に非常に硬いミリングバー(削る道具)を必要とし、そのバーの太さ以上の細かい表現は難しくなります。たとえば、微細な溝や繊細な形状など、ナチュラルな歯の質感を再現するには限界がある場合があります。
このような場合には、ジルコニアフレームに陶材を築盛して、熟練の歯科技工士が手作業で仕上げを行うことで、より自然な見た目や咬合調整を実現することが可能です。
3. 費用が比較的高額
ジルコニアは保険適用外の自由診療であることが多く、セラミックと同様に高額な治療費がかかります。医院によっても異なりますが、1本あたり10〜15万円程度が目安です。
4. 色調再現には限界がある場合も
近年ではジルコニアの色味のバリエーションも増えていますが、陶材と比べると透明感や微細な色調の再現には限界がある場合もあります。特に審美性を極めたい前歯の場合は、色調再現性に優れた「オールセラミック(e.maxなど)」を選択するケースもあります。

ジルコニアはどんな人に向いている?
ジルコニア治療は、以下のような方に特に向いています。
• 咬む力が強く、強度の高い素材を求める方
• 金属アレルギーがある方、金属を使いたくない方
• 自然な白さの歯を長持ちさせたい方
• 奥歯に自然で丈夫な被せ物を入れたい方
• ブリッジやインプラント上部構造などで耐久性が必要な方
一方で、審美的な細部に強くこだわる方や、咬合バランスに問題がある方には、別の素材や補助的な工夫が必要になる場合もあります。担当医や技工士とよく相談のうえ、最適な素材を選択することが重要です。

まとめ:ジルコニア治療は“機能美”を追求する選択
ジルコニアは、その美しさと強さを両立した、現代歯科治療の中でも非常にバランスの良い素材です。見た目の自然さを保ちつつ、長期間の使用にも耐える耐久性を備えているため、奥歯から前歯まで幅広く活用されています。
ただし、硬すぎるがゆえのリスクや加工の限界も存在するため、治療の際には十分な診査と、技術力のある歯科技工士の存在が欠かせません。
素材の特性を理解し、自分に合った治療を選ぶことが、満足度の高い治療結果につながります。ジルコニアは決して「万能」ではありませんが、適切に選び、使いこなすことで、その力を最大限に発揮してくれる素材です。

 

 

ブランパ歯科では3歯位のジルコニアブリッジまで当日1日で装着まで可能です。それ以上の歯数の場合翌日以降の仕上げになります。

製作工程のシンタリングに時間を要するからです。

ジルコニアの当日仕上げ及び提供までできることは凄い技術の進歩であるなあと歯科医師の私でも驚く昨今であります。

 

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自然な美しさを再現する高度な技法〜ジルコニアフレーム+陶材築盛とは?〜

歯の被せ物や差し歯の治療において、「白くてきれいな歯にしたい」と願う患者さんは少なくありません。そんな要望に応える方法のひとつが、「ジルコニアフレーム+陶材築盛(とうざいちくせい)」という高度な補綴技法です。
ただ、この言葉だけを聞いても、歯科の専門知識がない方にとっては「一体どういうもの?」「セラミックとは違うの?」と感じるのではないでしょうか。
本コラムでは、「ジルコニアフレーム+陶材築盛」とはどのような治療なのか、なぜこの方法が優れているのか、そしてその仕上がりに職人技が必要とされる理由などを、専門用語をかみ砕きながら解説していきます。

ジルコニアフレーム+陶材築盛とは?
まずはこの言葉を分解して考えてみましょう。
• ジルコニアフレーム:
「フレーム」とは土台のことです。ジルコニア(酸化ジルコニウム)という非常に硬く丈夫な素材でできた芯の部分が、被せ物の骨組みになります。これは金属の代わりに使用される白いフレームで、メタルフリー治療の代表的な素材です。
• 陶材築盛:
「陶材」とは、セラミックの一種である歯科用ポーセレンのこと。「築盛(ちくせい)」とは、陶材を一層一層手作業で盛り重ねていく作業を意味します。歯科技工士が筆や専用の器具を使って、自然な歯の色や質感を再現するために焼き付けを何度も行いながら丁寧に仕上げていきます。
つまり、「ジルコニアフレーム+陶材築盛」とは、ジルコニアの丈夫な土台の上に、熟練した技工士が手作業でセラミックを盛り付け、天然歯そっくりの見た目を作り上げる治療法です。

なぜ「フルジルコニア」ではなく築盛が必要なのか?
ジルコニアだけで作られた「フルジルコニアクラウン」も近年普及しています。フルジルコニアは強度が高く、臼歯(奥歯)などには特に適しており、破損の心配が少ない素材です。
しかし、審美性の面では課題もあります。フルジルコニアは非常に硬い一方で、光の透過性(透明感)がやや劣っており、天然歯のような自然な色味や奥行き感を出すには限界があります。
そこで、見た目の美しさが求められる前歯や口元の目立つ部位には、「陶材築盛」が必要になります。築盛によって、以下のような繊細な表現が可能になります。
• エナメル質のような透明感
• 歯の表面に見られる縦の模様や細かな凹凸
• グラデーションのある色の変化(歯の根元から先端にかけての明暗)
• 年齢や性別、顔貌に合った自然な歯の形状や質感
これらは、機械で一律に削り出すだけでは再現できません。まさに“手仕事”でしか表現できない美の世界なのです。

ジルコニアフレーム+陶材築盛のメリット
1. 審美性に優れる
自然な透明感、色合い、光の反射など、天然歯に近い外観を再現できます。とくに前歯に使用した場合、他の歯と並んでも違和感がなく、まるで本物の歯のような仕上がりになります。
2. 高い強度と耐久性
ジルコニアフレームは金属に匹敵するほどの強度を持ち、強い咬合力にも耐えることができます。ブリッジなど広い範囲の補綴にも対応可能で、セラミックが欠けにくくなるような設計も可能です。
3. 金属アレルギーのリスクなし
メタルフリーであるため、金属アレルギーがある方にも安心です。歯ぐきの変色(ブラックライン)も起こりにくく、長期的な審美性を保ちます。
4. 精密な適合性
CAD/CAM技術を活用してジルコニアフレームを高精度で削り出し、その上に築盛するため、歯にぴったりと合う被せ物が完成します。フィット感が良いため、汚れが溜まりにくく、虫歯や歯周病の予防にもつながります。

なぜ熟練した技工士が必要なのか?
陶材築盛は、非常に繊細で高度な技術を要する工程です。色の選定、焼成温度、陶材の厚み、咬合面の形状や質感の表現まで、すべて職人の感覚と経験がものを言います。
色味に関しては、隣の歯と完全に調和させるために、**「シェードテイキング(色合わせ)」の段階で直接患者さんの口元を見ながら色を調整することもあります。**このプロセスは、写真やデータだけでは補いきれない「目視による微調整」が必要です。
また、咬み合わせの調整も見逃せません。ジルコニアは非常に硬いため、調整を誤ると対合歯(噛み合う歯)を摩耗させてしまうリスクがあります。そのため、咬合の知識と経験に基づいた**“削らない微調整”や“当たらせ方”**も重要になってきます。
ジルコニアフレーム+陶材築盛は、まさにデジタルとアナログの融合。
機械では作れない繊細さを、人の手で仕上げる――この技術の真価を引き出すには、熟練した歯科技工士の存在が不可欠です。

まとめ:美しさにこだわるなら、築盛という選択を
「ジルコニアフレーム+陶材築盛」は、強さと美しさのバランスを追求した、歯科補綴の中でも高度な技術のひとつです。とくに前歯や口元の見た目を大切にしたい方、自然な笑顔を取り戻したい方には、非常におすすめできる治療法です。
ただし、どのような仕上がりを目指すかによって設計や素材の使い方が異なるため、治療を受ける際には、歯科医師と技工士がしっかりと連携している医院を選ぶことが大切です。
「ただ白いだけでなく、自然で美しく、長く使える歯を手に入れたい」――
そんな方は、ぜひジルコニアフレーム+陶材築盛による治療をご検討ください。それは“歯の修復”ではなく、“口元の再創造”と言える治療です。

 

 

ブランパ梅田のメニューでは、ジルコニア+レイヤリングと専門用語で示している治療法です。

お気軽にご相談くださいませ。歯科医師山内

 

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歯を失ったときの選択肢 ― インプラント治療という選択

虫歯や歯周病、外傷などによって歯を失ってしまったとき、どのような治療法を選ぶかは、患者さんにとって非常に大きな問題です。従来は、入れ歯やブリッジといった補綴治療が主流でしたが、近年では「インプラント治療」という選択肢が一般的になりつつあります。
このコラムでは、インプラント治療の基本的な仕組みやメリット・デメリット、そして他の治療法との比較を通して、より良い選択の参考になるような情報をお届けします。

インプラント治療とは?
インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯(上部構造)を装着する治療法です。インプラント体は主にチタンでできており、骨としっかり結合(オッセオインテグレーション)することで、天然の歯に近い安定した機能と見た目を再現します。
治療は大きく分けて次のような流れで進みます。
1. 診査・診断
CTやレントゲンなどで骨の状態や全身の健康状態を確認し、治療計画を立てます。
2. 一次手術(インプラント埋入)
顎の骨にインプラント体を埋め込みます。局所麻酔で行うため、痛みは少なく、手術時間も短時間で済みます。
3. 治癒期間(2〜6か月程度)
骨とインプラントが結合するのを待ちます。この間は仮歯を使用する場合もあります。
4. 二次手術(アバットメント装着)
歯ぐきを開き、インプラントの頭出しと土台(アバットメント)の装着を行います。
5. 上部構造(人工歯)の製作・装着
型取りを行い、セラミックやジルコニアなどでできた人工歯を装着して完了です。

インプラントのメリット
・天然歯のような見た目と噛み心地
インプラントは顎の骨に直接固定されるため、咀嚼力(噛む力)が天然歯に非常に近く、食事を楽しむことができます。また、セラミックなどの材料を使えば見た目も自然で、他人からは人工歯だと気づかれにくいのも特徴です。
・周囲の歯を削らない
ブリッジのように、両隣の健康な歯を削って土台にする必要がないため、残っている歯を守るという意味でも非常に優れた治療法です。
・顎の骨が痩せにくい
歯を失った部分は噛む刺激が伝わらなくなることで骨が次第に痩せていきます。インプラントは顎の骨に直接負荷がかかるため、骨の吸収を防ぎ、口元の若々しさを保つ効果もあります。
・長期的に安定した治療
適切なメンテナンスを行えば、インプラントは10年以上にわたって機能し続けることが期待できます。実際に、10年生存率は90%以上と報告されており、信頼性の高い治療法とされています。

他の治療法との比較
インプラント以外にも、歯を補う方法として「ブリッジ」や「入れ歯(義歯)」があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。

インプラント:周囲の歯に負担をかけず、噛み心地が自然。見た目もきれい。骨の吸収も抑制できる。 手術が必要。保険適用外で費用が高い。治療期間が長め。
ブリッジ:固定式で違和感が少ない。短期間で治療が完了。 両隣の歯を削る必要がある。支台歯に負担がかかる。骨の吸収は防げない。
入れ歯:比較的費用が安く、保険適用も可能。複数の歯が欠損していても対応できる。 違和感が強く、外れやすいこともある。噛む力が弱く、見た目にも影響。
患者さんの口腔内の状態や健康状態、ライフスタイルによって最適な治療法は異なりますが、**「周囲の歯を守り、長期的な安定を求めるならインプラント」**が第一選択肢になるケースも多く見られます。

インプラントにもリスクと注意点がある
どんな治療にもメリットと同時にリスクが存在します。インプラントも例外ではありません。
・外科手術のリスク
手術を伴うため、感染症や神経損傷、出血といったリスクがあります。特に糖尿病や心疾患のある方は、事前に十分な診査と管理が必要です。
・治療費用の負担
保険適用外の自由診療となるため、費用は1本あたり30万円〜50万円以上が相場です。費用と効果のバランスを見極めることが重要です。
・定期的なメンテナンスが必須
インプラントは天然歯と異なり、歯周病ではなく「インプラント周囲炎」という特殊な炎症にかかることがあります。これを防ぐためには、定期的な歯科検診と毎日の丁寧なセルフケアが欠かせません。

インプラントに向いている人・向かない人
【向いている人】
・一本だけ歯を失っていて、他の歯は健康な人
・ブリッジで健康な歯を削ることに抵抗がある人
・入れ歯の違和感が強く、しっかり噛める治療を望む人
・メンテナンスの意識が高く、セルフケアができる人
【向いていない場合がある人】
・重度の全身疾患がある人(未管理の糖尿病、心疾患など)
・顎の骨が著しく吸収している人(骨造成が必要な場合も)
・喫煙習慣があり、治癒力に不安がある人
・口腔衛生状態が悪く、自己管理が難しい人

まとめ:未来の歯を守る選択としてのインプラント
インプラント治療は、失われた歯を自然に補うための非常に優れた方法であり、機能性・審美性ともに高いレベルで回復できる点が最大の魅力です。しかし、すべての人に一律に適しているわけではなく、治療計画やメンテナンス、費用面を含めた包括的な判断が必要となります。
そのためにも、歯科医師との十分なカウンセリングを通じて、インプラントの適応や他の選択肢を理解し、納得のいく治療を選ぶことが重要です。
「もう一度、しっかり噛める喜びを取り戻したい」「自分の歯のように自然な見た目を求めたい」——そんな想いに応えるインプラント治療は、今後ますます多くの患者にとっての選択肢となっていくでしょう。

 

私歯科医師山内は1995年以来インプラント歯科治療に携わり早いことと本人は思っておりますが、30年経過致しました。

欠損補綴の選択肢としてとても素晴らしい治療法です。適応症と予後の余地性を考慮し設計していきましょう。山内

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歯科技工士とは?〜見えないところで“噛める”を支えるプロフェッショナル〜

皆さんは「歯科技工士(しかぎこうし)」という職業をご存じでしょうか?
歯科医院で治療を受けるとき、多くの人が目にするのは歯科医師や歯科衛生士ですが、実は**“見えない場所”でとても大切な役割を担っている専門職**がいます。それが「歯科技工士」です。
このコラムでは、「歯科技工士とはそもそもどんな仕事をしているのか?」「歯科医師とは何が違うのか?」「私たちの治療にどんな関わりがあるのか?」といった疑問にお答えしながら、歯科技工士の魅力と重要性を、歯科の知識がない方にもわかりやすくお伝えしていきます。

歯科技工士とはどんな職業?
歯科技工士とは、歯科医師の指示に基づいて「人工の歯」や「入れ歯」「被せ物」「詰め物」「矯正装置」などを製作する国家資格を持つ専門職です。
たとえば、虫歯や外傷などで歯を大きく失ったとき、型取り(印象)をして、その形に合った被せ物を作ります。この「形に合わせてぴったりの歯を作る」作業を担うのが歯科技工士です。
歯科技工士は、歯科医院に併設された「院内技工室」で働いている場合もあれば、歯科技工所という専門の施設で製作を行い、各医院に納品しているケースもあります。

歯科医師と歯科技工士の違いは?
治療を直接行うのが歯科医師。
治療後に口の中に入る“人工の歯”を作るのが歯科技工士。
このように言うと分かりやすいかもしれません。
よく例えられるのが「家づくり」の話です。
• 歯科医師は、大工さんのような存在。
基礎を整え、型を取り、かみ合わせを調整し、患者さんの症状に応じた治療の計画を立てます。つまり、「土台を整える」仕事です。
• 歯科技工士は、設計士や職人のような存在。
整えられた土台の上に、ぴったり合う“上物(うわもの)=家”を作り上げるのが技工士の役割です。素材選びから細かなデザインまで、歯1本1本の形や色、質感にこだわって、見た目も機能も自然な人工歯を仕上げます。
この2つの職種が、密接に連携して初めて「快適に噛める、美しく見える歯」が完成するのです。

歯科技工士の仕事にはどんなものがある?
歯科技工士の手がけるものは、以下のように多岐にわたります。
• クラウン(被せ物)
• インレー(詰め物)
• ブリッジ
• 義歯(入れ歯)
• インプラント上部構造
• 矯正用の装置(マウスピースやワイヤー)
• ナイトガード(歯ぎしり用マウスピース) など
それぞれに応じた材質(金属・セラミック・ジルコニア・レジンなど)を選び、咬み合わせや力の加わり方、色調などを細かく調整しながら製作します。
また近年では、デジタル技術(CAD/CAM)を活用した歯科技工も普及しており、スキャナーで読み取った3Dデータをもとに設計・削り出しを行うことも増えてきました。
ただし、いくらデジタルが進化しても、「自然な見た目」「個人差に応じた仕上がり」には職人の手仕事が必要不可欠です。光の反射、透明感、質感などを細かく再現するには、歯科技工士の繊細な感覚と経験がものを言います。

歯科技工士の仕事が“治療の満足度”を左右する
歯科技工士の仕事は患者さんの目には直接触れることが少ないため、時に「裏方」のように思われがちです。しかし実際には、患者さんが「きれいに治った」「違和感なく噛める」と感じるために欠かせない存在です。
たとえば、
• 「かみ合わせがぴったりで、違和感がない」
• 「他の歯と違和感のない色合いで自然」
• 「硬いものも安心して噛める」
• 「笑ったときに見える歯がきれい」
これらすべてが、歯科技工士の技術に支えられています。
とくに前歯など審美的な部位では、わずかな色の差や形状の違いが見た目に大きく影響します。歯科技工士は、歯科医師と連携しながら、患者さんの顔立ち、性別、年齢、口元のバランスまで考慮して「その人に合った歯」を仕上げていきます。

歯科技工士の重要性をもっと知ってほしい
歯科技工士は、高い専門性と集中力、そして繊細な美的感覚を必要とする“プロフェッショナル”です。一人の患者さんに合わせた歯を一点一点、手作りで仕上げていく――まさにオーダーメイドの仕事です。
にもかかわらず、その存在が十分に知られていないのが現状です。実際に「歯科技工士がどこで働いているのか」「歯科医院の中にいるのか外にいるのか」といった基本的なことも、多くの方には馴染みがないかもしれません。
しかし、歯科技工士がいるからこそ、私たちは「噛める」「話せる」「笑える」――そんな当たり前のことができるのです。

まとめ:歯科医療は“見えない職人”によって支えられている
歯科治療は、歯科医師だけでは完結しません。患者さんの口の中に収まる補綴物(ほてつぶつ)は、歯科技工士の技術とこだわりによって形作られています。
「家づくり」でいえば、しっかりとした土台を整えるのが歯科医師。
その上に、美しく機能的な家を建てるのが歯科技工士です。
この2人のプロフェッショナルが連携してこそ、初めて安心で快適な歯科治療が実現します。
次に歯科医院で「被せ物が入りましたよ」と言われたとき、その歯の奥にいる“見えない職人”の存在にも、ぜひ思いを馳せてみてください。あなたのために、一つひとつ丁寧に作られた、その歯は、歯科技工士の手から生まれた一点ものなのです。

ブランパ歯科では実際に直接担当歯科技工士とお客様が意見交換をして仕事を進めて参ります。

デジタルとアナログのバランスがとても上手くいっています、お気軽に起こしくださいませ

 

梅田院歯科技工士 関西

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自分に合った歯ブラシ、選べていますか?〜歯ブラシ選びの基本と応用〜

毎日何気なく使っている歯ブラシ。店頭に行くと、さまざまな形・硬さ・大きさのものが並んでいて、「どれを選べば良いのか分からない」という声もよく耳にします。また、通常の歯ブラシ以外にも、“タクトブラシ”や“ワンタフトブラシ”といった補助的なブラシも存在し、用途によって使い分けることで、より効果的なセルフケアが可能になります。
このコラムでは、基本的な歯ブラシの選び方から、用途に応じた特殊ブラシの活用法まで、日々のオーラルケアをワンランクアップさせるためのヒントをご紹介します。

歯ブラシ選びの基本:大きさ・毛の硬さ・形状
まず最初に、通常の歯ブラシを選ぶ際のポイントを確認しましょう。
・ヘッドの大きさ
基本的には「自分の親指の第一関節ぐらいの長さ」が目安とされます。大きすぎると奥歯まで届かず、小さすぎると時間がかかるため、自分の口腔内に合ったバランスの良いサイズを選ぶことが大切です。
・毛の硬さ
「やわらかめ」「ふつう」「かため」の3種類が主流です。
・歯ぐきが敏感な人、歯周病の初期段階の人にはやわらかめ
・健康な歯と歯ぐきを持つ人にはふつう
・しっかり磨きたい人にはかため(ただし、力の入れすぎには要注意)
など、口腔の状態によって使い分けが必要です。
・毛先の形状
平らな「フラットタイプ」、山型の「先細タイプ」、ぎっしり詰まった「超密集タイプ」など、ブラシ部分にも様々な設計があります。歯と歯ぐきの境目を丁寧に磨きたいなら「先細」、歯面をしっかりこすりたいなら「フラット」がおすすめです。

通常の歯ブラシでは届かない場所には“補助ブラシ”を
どれだけ丁寧に磨いていても、歯並びの関係や、歯の形状によって、通常の歯ブラシだけでは清掃が難しい部分が出てきます。そんなときに活躍するのが、補助的なブラシたちです。
・タクトブラシ(歯間ブラシ、ワンタフトブラシ)
いわゆる「ピンポイントブラシ」として、特定の部位を磨くために作られた小さなブラシです。
<タクトブラシ/ワンタフトブラシ>
非常に小さなヘッドと、少し斜めに角度のついたネックが特徴です。
・奥歯の奥(第二大臼歯の遠心面)
・歯並びがガタガタしている部分
・矯正装置の周囲
・親知らずの周辺
など、「通常の歯ブラシでは届きにくい」場所を、ピンポイントで磨くことができます。
ブラシ部分が先細で柔らかいため、歯と歯ぐきの境目に優しく当てることができ、歯周病予防にも非常に効果的です。毎回の歯磨き後に、仕上げとして使用するのがおすすめです。
・歯間ブラシ
歯と歯の間に差し込んで使う、小さなブラシ。特に歯ぐきが下がってきて歯間が広がっている中高年の方や、ブリッジなどの補綴物が入っている方にとっては必須の清掃器具です。
サイズは0番(極細)〜4番(太め)まであり、自分の歯間の大きさに合ったものを選ぶことが重要です。無理に太いものを使うと、歯ぐきを傷つけたり、歯間を広げてしまうリスクがあります。
・電動歯ブラシ
最近では、音波振動式や回転式の電動歯ブラシも人気です。手磨きに比べて一定のリズムで効率よく磨けるのが特長で、正しい使い方をすれば非常に効果的です。ただし、力の入れすぎや長時間の使用には注意が必要で、「電動=何も考えずに磨ける」というわけではありません。むしろ、正しい使い方を理解することが前提となります。
年齢やライフスタイルに応じた歯ブラシの選び方
・乳幼児・小児向け
小さな口に合わせたコンパクトヘッドと、柔らかめの毛が基本です。さらに、子どもが楽しく歯磨きできるように、キャラクター入りや持ちやすい太めの柄など工夫されたものも多く出ています。
・高齢者向け
歯ぐきが痩せてきたり、握力が弱くなった方には、グリップが太く持ちやすい歯ブラシや、やわらかく歯ぐきを傷つけないタイプがおすすめです。また、入れ歯専用のブラシもあり、通常の歯ブラシと併用することで衛生管理がしやすくなります。
・矯正中の方
矯正装置(ブラケットなど)がついている方は、通常の歯ブラシだけでは十分に汚れを落とすのが難しいことがあります。タクトブラシや歯間ブラシ、矯正用のV字カットブラシなどを使って、器具の周囲を丁寧に清掃することが大切です。

「選ぶ+使い分け」で、口腔ケアの質が上がる
歯ブラシは、「1本あればなんとかなる」道具ではありません。毎日のセルフケアにおいては、自分の口腔内の状態やライフスタイルに応じて、“選び”“使い分ける”ことがとても大切です。
たとえば、通常の歯ブラシで全体を磨いたあと、ワンタフトブラシで奥歯の裏側をフォローし、さらに歯間ブラシやデンタルフロスで歯間清掃を行う——これだけでも、プラーク(歯垢)の除去率は大きく変わります。
毎日少しずつでも、正しい道具で正しく磨くことで、歯科医院に頼らなくても自分の歯を守る“本当の意味での予防”が実現できるのです。

まとめ
歯ブラシと一言でいっても、その種類や用途は非常に多岐にわたります。自分の口の状態に合った歯ブラシを選ぶこと、そして必要に応じてタクトブラシや歯間ブラシなどを併用することは、虫歯や歯周病を防ぐための基本です。
「どのブラシを使えば良いのか分からない」「うまく磨けているか不安」という方は、ぜひ歯科医院での歯ブラシ指導を受けてみてください。自分にぴったりの道具と磨き方を知ることは、未来の自分の歯を守る第一歩です。

ご相談 ブランパ梅田院歯科衛生士 岩崎

 

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「口呼吸」が歯と体に及ぼす影響とは?〜その習慣、見逃していませんか〜

ふと気づくと、口をポカンと開けて呼吸している――。これは、特に子どもや思春期の若年層に多く見られる「口呼吸」の癖です。しかし、実はこの癖、単なる見た目の問題ではありません。口呼吸は、歯並びやかみ合わせを乱すだけでなく、虫歯や歯周病、さらには全身の健康にまで悪影響を与える可能性があるのです。

本コラムでは、「なぜ口呼吸がいけないのか」「歯にどのような影響を与えるのか」を中心に、見逃されがちな口呼吸のリスクについて解説していきます。

鼻呼吸と口呼吸の違い

まず、私たちが本来行うべき呼吸は「鼻呼吸」です。鼻には空気中の異物やウイルスをフィルターのように取り除き、湿度や温度を調節する機能が備わっています。一方、口呼吸はこの機能をバイパスして直接空気を体内に取り込むため、乾燥した冷たい空気や病原体がそのまま喉や肺に届いてしまいます。

このように、口呼吸は呼吸機能そのものにもデメリットがありますが、口腔内の健康にも深刻な影響を及ぼすのです。

口呼吸が歯に与える影響

1. 口腔内が乾燥し、虫歯・歯周病リスクが上昇
鼻呼吸をしていれば、口の中は常に適度な湿度が保たれ、唾液の自浄作用によって細菌の増殖が抑えられます。しかし、口呼吸をすると唾液が蒸発しやすくなり、口腔内が乾燥しがちになります。

唾液には、虫歯菌や歯周病菌の活動を抑える抗菌作用や、酸を中和する緩衝作用があります。口が乾燥するとこれらの機能が弱まり、虫歯や歯周病のリスクが一気に高まります。特に前歯の裏側や上顎の歯列は、乾燥の影響を受けやすく、トラブルが起きやすい部位とされています。

2. 歯並びやかみ合わせが乱れやすくなる
成長期の子どもが長期間口呼吸をしていると、舌の位置や筋肉のバランスに異常が生じ、歯列に悪影響を与えることがあります。

本来、舌は上顎に軽く接しているのが正常な位置です。鼻呼吸をしていれば、舌は自然と上顎に収まり、上顎の正常な成長を促します。しかし口呼吸をしていると、舌は低い位置に下がり、上顎の発育が妨げられます。その結果、上顎が狭くなり、歯が並ぶスペースが足りずに歯列不正(ガタガタの歯並び)を引き起こすことがあります。

また、口周囲の筋肉が弱くなることで、出っ歯(上顎前突)や開咬(奥歯はかみ合うのに前歯が閉じない状態)などの不正咬合が生じやすくなります。

3. 口臭や舌苔(ぜったい)の増加
口が乾燥すると、舌の表面に白っぽい汚れ(舌苔)がたまりやすくなります。これは細菌や食べかすの集合体で、口臭の大きな原因となります。特に朝起きたときに「口の中がネバネバする」「臭いが気になる」と感じる人は、無意識に口呼吸になっている可能性があります。

4. 歯の脱灰と酸性化
唾液には、食後に口腔内が酸性に傾いた状態を中和し、歯を再石灰化させる作用があります。口呼吸によって唾液量が減ると、この中和作用が弱まり、歯の表面のミネラルが溶け出す「脱灰(だっかい)」が進行しやすくなります。これが初期虫歯の原因となります。

口呼吸の原因とは?

口呼吸の背景には、さまざまな原因があります。

・アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎などによる鼻づまり
・扁桃肥大やアデノイド肥大などによる気道の狭窄
舌の癖(舌突出癖)や口唇の筋力低下
長期間の指しゃぶりや口を開ける癖
・睡眠時の無呼吸症候群などの呼吸障害

特に子どもの場合、早い段階で原因を突き止め、口呼吸を改善することが、歯並びの健全な発育や、全身の健康維持につながります。

どうすれば口呼吸を防げるか?

口呼吸を防ぐためには、以下のような対策が有効です。

1. 原因となる鼻づまりの治療
耳鼻科的な問題がある場合は、専門的な治療を受けることが第一歩です。アレルギーや慢性鼻炎がある人は、定期的な診察と適切な薬物療法を検討しましょう。

2. 口を閉じる意識づけと筋トレ
「あいうべ体操」や口唇・舌のトレーニングを行うことで、口周囲の筋力が改善し、自然と口を閉じやすくなります。特に舌の正しい位置(上顎の中央)を意識することが重要です。

3. 睡眠時の工夫
寝ている間の口呼吸には、「口閉じテープ」や「ナイトマウスピース」なども有効です。寝る前に口を閉じる習慣をつけることで、無意識のうちの口呼吸を防ぎます。

4. 歯科医院でのチェックと指導
歯科医院では、口呼吸による影響のチェックや、MFT(口腔筋機能療法)などの指導も受けられます。特にお子さまの場合、早期発見・早期対応が歯列や発育への悪影響を防ぐカギとなります。

まとめ

口呼吸は、見た目だけでなく、歯や歯ぐき、かみ合わせ、さらには全身の健康にまで悪影響を及ぼす習慣です。とくに成長期の子どもにとっては、将来の歯並びや骨格形成にも深く関わる重要な問題です。

「いつも口が開いている」「寝ているときに口が乾く」「歯並びがガタガタしてきた」――そんなサインに気づいたときは、早めに歯科医院や耳鼻科で相談することをおすすめします。

健康な歯と体を守るために、今日から「鼻呼吸」を意識してみましょう。それは、あなたの未来の笑顔を守る大切な一歩になるはずです。

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歯科治療が命を守る?〜誤嚥性肺炎と歯科の深い関係〜

近年、医療や介護の現場で「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」という言葉を耳にする機会が増えています。特に高齢者においては、この病気が命に関わる重大なリスクとなることが知られており、実際に日本では肺炎による死亡の多くが誤嚥性肺炎によるものとされています。
では、その予防において「歯科医療」がどのような役割を果たすのか、ご存知でしょうか?「歯医者は虫歯を治す場所」と思われがちですが、実は口腔内の衛生管理や嚥下(えんげ)機能の改善を通じて、誤嚥性肺炎の予防に大きく貢献しています。
本コラムでは、誤嚥性肺炎の概要から、口腔内の環境がどのように肺炎と関係するのか、そして歯科医療が果たすべき役割について詳しく解説していきます。

誤嚥性肺炎とは?~「食べ物の誤飲」だけが原因ではない~
「誤嚥(ごえん)」とは、食べ物や飲み物、あるいは唾液や胃液などが誤って気管に入り、肺に到達してしまうことを言います。通常は、むせたり咳き込んだりすることで排除されますが、加齢や病気により咳反射や嚥下反射が低下していると、気づかないうちに細菌を含んだ物質が肺に入り込み、炎症を起こします。これが「誤嚥性肺炎」です。
特に高齢者では、寝ている間や食後の軽い誤嚥が繰り返される「慢性微小誤嚥(silent aspiration)」が多く見られ、自覚症状がほとんどないまま肺炎が進行することもあります。

なぜ誤嚥で肺炎が起こるのか?~カギは「口の中の細菌」~
口の中には、常に数百種類、数千億個の細菌が生息しています。健康な人であれば問題ありませんが、口腔内の清掃が不十分になると、虫歯菌や歯周病菌をはじめとする病原性の高い細菌が繁殖します。
これらの細菌が唾液や食物に乗って誤って気道に入り込んだとき、肺の中で感染を引き起こすリスクが高まるのです。つまり、**誤嚥性肺炎の本質は「口の中の細菌による肺の感染症」**とも言えます。
したがって、誤嚥性肺炎を予防するためには、単に食べ方や姿勢を工夫するだけでなく、口腔内の清潔さを保つことが極めて重要なのです。

誤嚥性肺炎を引き起こす口腔内の問題とは
1. 歯垢や歯石の蓄積
プラーク(歯垢)は細菌の塊であり、誤嚥時に肺に入ると重篤な肺炎の原因となります。特に歯周病が進行している口腔内では、病原性の高い嫌気性菌が多く存在しており、肺炎の重症化リスクが高まります。
2. 義歯の不衛生
入れ歯の表面には微細な凹凸があり、プラークやカンジダ菌が付着しやすくなっています。夜間も装着したまま寝ていると、唾液の自浄作用も低下し、細菌が増殖しやすくなります。
3. 唾液の減少(口腔乾燥症)
唾液には抗菌作用や自浄作用があり、誤嚥された異物を洗い流す役割も担っています。加齢や薬の副作用、全身疾患によって唾液量が減少すると、感染リスクが増します。
4. 舌苔(ぜったい)や口腔内の汚れ
舌の表面には細菌や食べかすが溜まりやすく、これが口臭や誤嚥性肺炎の原因となります。特に寝たきりの方や要介護者では、舌の清掃が行き届かないケースが多く見受けられます。

歯科治療・口腔ケアが果たす誤嚥性肺炎予防の役割
ここで、歯科の役割が大きく関わってきます。誤嚥性肺炎の予防において、歯科医師や歯科衛生士による専門的な口腔ケアが非常に重要であることが、近年さまざまな研究によって明らかになっています。
1. 定期的な専門的口腔ケア
歯石除去や義歯の清掃、舌苔の除去などを定期的に行うことで、口腔内の細菌数を大幅に減らすことができます。特に高齢者施設や病院での口腔ケアの導入は、誤嚥性肺炎の発症率を下げる効果が示されています。
2. 嚥下機能の評価と訓練(摂食嚥下リハビリ)
歯科医師や歯科衛生士が、嚥下障害の有無をチェックし、必要に応じて「パタカラ体操」や舌の運動、発声訓練などを通じて嚥下機能の改善を図ります。これにより、誤嚥自体を減らすことができます。
3. 口腔機能低下症の早期発見
「オーラルフレイル(口の虚弱)」と呼ばれる初期の機能低下を見逃さず、早期に介入することが、高齢者の全身の健康維持にもつながります。
4. 食形態や食具のアドバイス
歯科から食事の形態(きざみ食、ミキサー食など)や、飲み込みやすい姿勢・補助具の選定などについても指導できるため、日常の誤嚥リスクを下げるサポートが可能です。

誤嚥性肺炎の予防は“チーム医療”で
近年、医科歯科連携の重要性が強調されており、高齢者や在宅療養者に対する医療においては、歯科の介入が欠かせない存在となっています。
たとえば、退院後の在宅療養中に歯科医師が訪問して口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎の再発を防ぎ、再入院を回避できたというケースも少なくありません。介護職・看護師・医師・栄養士と連携しながら、歯科の視点から口腔衛生と嚥下機能を維持することが、高齢者の「生活の質(QOL)」の向上に大きく寄与します。

高齢者だけではない?誤嚥性肺炎のリスクは誰にでもある
誤嚥性肺炎は高齢者に多い病気ではありますが、若年層であっても、ストレスや疾患、服薬の影響などで唾液が減少したり、体調不良時に寝たまま食事を摂ったりすることで、リスクがゼロとは言えません。
とくに介護や看護の現場では、「まだ若いから大丈夫」と過信せず、日々の口腔ケアを徹底することが大切です。歯磨きやうがいができない人には、保湿剤やスポンジブラシを用いた清掃でも効果があります。

まとめ:歯科治療が「命を守る医療」になる時代
これまで歯科医療は「痛みをとる」「虫歯を治す」といった役割に限られて語られることが多くありました。しかし、今や歯科は「口から始まる全身の健康」を守る重要な医療分野として再評価されています。
誤嚥性肺炎の予防において、口腔の清掃と機能維持は欠かせない要素であり、それを担うのが歯科医師・歯科衛生士の専門的な知識と技術です。日々の口腔ケアが肺炎を防ぎ、命を守る手段となる――それがこれからの歯科の新たな価値です。
家族や大切な人の命を守るために、そして自分自身の老後の健康を守るために、今こそ「口の健康」に目を向ける時です。

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“直接伝える”で叶う、自分だけのセラミック治療

現代の歯科治療において、審美性や機能性に対する患者の要求は年々高まっており、それに応えるべく歯科医療の現場も進化を続けています。特に審美補綴治療においては、補綴物の精度や自然な見た目が重要視されており、その質を大きく左右するのが「歯科技工士」の存在です。本コラムでは、歯科医院に専属の歯科技工士が常駐していることの優位性について、外部の歯科技工所との比較を交えながら詳述します。

1. 直接コミュニケーションが可能:希望をダイレクトに伝えられる利点
一般的に、補綴物(クラウンやインレー、ラミネートベニアなど)は歯科技工所に外注されることが多く、歯科医師が患者から得た情報をもとに技工士へ指示を出します。しかしこのプロセスには、「伝言ゲーム」のような情報の齟齬が生じる可能性があります。
これに対し、医院内に専属の歯科技工士がいる場合、患者が自ら技工士と直接コミュニケーションをとることが可能です。たとえば、セラミッククラウンの色味や透明感、形状の希望について、患者がその場で技工士に伝えることができるため、イメージのズレが最小限に抑えられます。これにより、個々の患者に合わせた“オーダーメイド”の補綴物が実現可能となるのです。

2. スピードと柔軟性:修正対応が即日可能
外部の技工所に補綴物を依頼する場合、型取り(印象採得)→模型作成→郵送→製作→返送という一連の工程に最低でも数日、場合によっては1週間以上かかることがあります。さらに、出来上がった補綴物に不具合や患者の要望との相違があった場合、再び修正依頼と配送が必要となり、治療のスケジュールに大きな影響を与えることもあります。
その点、院内技工士がいれば、修正対応を即日、もしくは翌日には完了させることが可能です。チェアサイドで微調整を行うこともでき、仮合わせ時に技工士が立ち会えば、その場で研磨や形態修正を施すこともできます。この柔軟な対応は、患者にとっては通院回数や治療期間の短縮という形で恩恵を受けられるほか、医院としても効率的な診療が可能となります。

3. 技術的な相談が院内で完結
補綴物の製作にあたっては、単に歯型をもとに模型を作成するだけではなく、咬合(咬み合わせ)や隣在歯との調和、フェイシャルラインとの関係など、さまざまな技術的配慮が必要です。これらを歯科医師と技工士が密に情報共有できる体制があることは、治療の質を飛躍的に向上させます。
専属技工士がいれば、咬合器の設定やシェードテイキング(色合わせ)、フェイスボウトランスファーといった高度な技工支援をリアルタイムで行うことができます。また、症例に応じて素材の選定や設計の相談も容易で、医師と技工士のコラボレーションがスムーズに機能します。

4. 患者の満足度向上と医院のブランディング
審美補綴治療は見た目に大きく関わるため、患者の満足度に直結します。治療結果が期待に沿わなければ、「せっかく高い費用を払ったのに…」という不満につながり、医院への信頼が損なわれる可能性もあります。
院内技工士の存在は、患者との信頼関係を構築するうえで大きな役割を果たします。たとえば「この技工士さんが自分の歯を作ってくれた」という認識があることで、安心感が生まれ、結果として治療全体への満足度が高まります。医院としても、質の高い補綴物を提供できる体制をアピールすることで、他院との差別化を図り、ブランディング戦略にもつながります。

5. 高度なケースへの対応力
近年では、ジルコニアやe.maxなどの高強度セラミック材料、CAD/CAM技術の進化によって、補綴物の製作プロセスにも高度な知識と技術が求められるようになっています。特にフルマウス補綴やインプラント上部構造のような複雑症例では、技工士の技量が治療結果を左右します。
医院内に熟練した技工士が常駐していれば、これらの高度症例にもスムーズに対応可能です。CTや口腔内スキャナのデータを共有しながら設計を進めることができ、デジタル技工との連携も強化されます。将来的には3Dプリンティング技術の導入による迅速な試適や、個別設計に対応したデジタルワークフローも実現しやすくなります。

結語:これからの歯科医院に求められる“院内連携力”
これまで述べたように、歯科医院内に専属の歯科技工士がいることで、患者の希望を的確に反映した補綴物の製作、迅速な修正対応、高度な症例への柔軟な対応など、数多くのメリットが得られます。これは単なる“技工の外注”から、“歯科医療チームの一員としての技工士”への発想の転換と言えるでしょう。
今後、より質の高い歯科治療が求められる時代においては、医師、衛生士、技工士が一体となって診療にあたる体制が、患者満足度の向上に直結すると言えます。その意味で、院内技工士の存在は、これからの歯科医院の在り方を象徴する重要なキーワードのひとつとなるでしょう。

ブランパ梅田常勤スタッフ

歯科医師 山内

歯科技工士 関西

歯科衛生士 岩崎

 

よろしくお願いいたします

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