インプラント治療中に気をつけたいこと

〜治療を成功させるために、患者さんにできる大切な配慮〜
インプラント治療は、歯を失った部分に人工の歯根を埋め込み、機能的にも見た目にも自然な歯を取り戻す先進的な歯科治療です。その成功率は非常に高く、適切な診断と施術によって、長期的に安定した結果が期待できます。
しかし、インプラント治療は「歯医者さんに任せておけば大丈夫」というものではありません。実は、治療中に患者さんご自身が日常生活の中で注意すべき点が多く存在し、それらの行動がインプラントの予後を左右することも少なくないのです。
このコラムでは、インプラント治療を安全かつ円滑に進めるために、患者さんが気をつけたいポイントを時期別に分けて詳しく解説します。

【治療前】インプラントを受ける準備として
1. 全身の健康状態を把握しておく
インプラントは外科処置を伴うため、持病や服薬内容はあらかじめ医師にしっかり伝えることが重要です。特に糖尿病、高血圧、心疾患、骨粗しょう症、出血傾向のある病気がある方は、治療の可否や術後の回復に影響を与える可能性があります。服用中の薬についても、正確に申告しましょう。
2. 喫煙習慣の見直しを
喫煙はインプラント治療における最大のリスク要因の一つです。タバコの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素は、血流を悪化させ、インプラントと骨の結合(オッセオインテグレーション)を妨げる原因になります。インプラント手術を機に禁煙を考えることは、治療成功の鍵となります。
3. お口の環境を整える
虫歯や歯周病、歯石の多い状態では、インプラント周囲に感染が広がるリスクがあります。インプラント治療の前には、必ず歯周病の治療やプロフェッショナルクリーニングを受け、口腔内を清潔な状態に保つことが大切です。

【手術当日】安全に手術を受けるために
1. 食事は指示に従って
基本的に、局所麻酔を使った手術であれば、食事は手術の1〜2時間前までに済ませておくことが多いです。術後は麻酔が切れるまで飲食を控える必要があるため、詳しくは歯科医師の指示に従ってください。
2. 体調が悪いときは無理せず連絡を
発熱や風邪など、体調不良があるときには、無理に手術を受けることは避けましょう。免疫力が落ちていると感染リスクも高まります。少しでも異変を感じた場合は、迷わず歯科医院に連絡しましょう。
3. 当日は安静を心がける
手術後はできるだけ静かに過ごし、血流が大きく変化するような運動や入浴(湯船に浸かる)は避けましょう。代わりに軽くシャワーを浴びる程度に留めるのが安全です。飲酒も控えるようにしてください。

【手術後】インプラントを定着させるために
1. 傷口を触らない・強くゆすがない
舌や指で傷口を触るのは厳禁です。また、うがいも強くしすぎると血餅(けっぺい:傷をふさぐ血のかたまり)が取れてしまい、治癒が遅れてしまうことがあります。処方されたうがい薬を軽く含んで流す程度にしましょう。
2. 痛み止め・抗生剤はきちんと服用する
術後には痛みや腫れを抑えるための薬が処方されます。指示されたとおりに服用し、自己判断で中断しないことが大切です。特に抗生物質は途中でやめると感染のリスクが高まるので注意が必要です。
3. 食事はやわらかいものから
術後数日は、インプラントを埋めた部位で噛まないようにし、うどん、おかゆ、スープ、ゼリーなどのやわらかいものを選びましょう。熱すぎるもの、辛いもの、硬いものは避けることが望ましいです。
4. タバコとアルコールは厳禁
タバコは血流を悪化させ、治癒を遅らせるため、術後も完全な禁煙が望まれます。アルコールも炎症を助長したり、薬との相互作用を起こしたりする可能性があるため、少なくとも数日は控えましょう。

【治癒期間中】長くインプラントを持たせるために
1. 指示された通院スケジュールは守る
治癒が順調に進んでいるかを確認するために、数回のチェックが必要です。自覚症状がなくても、内部で炎症やトラブルが起きていることもあるため、定期的な診察は必須です。
2. 丁寧な歯磨きを習慣にする
インプラントは虫歯にはなりませんが、「インプラント周囲炎」という歯周病のような炎症が起こる可能性があります。これは、清掃不足が主な原因です。術後も、歯科衛生士の指導のもと、インプラント周囲を傷つけないように優しく、かつしっかり磨くことが大切です。
3. 無理な力をかけないように
インプラントは天然歯と違って、過度な力が加わるとダメージを受けやすくなります。硬いものを噛まない、歯ぎしり・食いしばりを防止するためにナイトガード(マウスピース)を使用するなど、力のコントロールも重要です。

まとめ:患者さんの協力が、インプラント成功のカギ
インプラント治療は、歯科医師の技術だけでなく、患者さんの協力と日々の注意によって完成される治療法です。とくに手術前後の体調管理や生活習慣、セルフケアの徹底は、インプラントを長持ちさせるために欠かせません。
「インプラントを入れて終わり」ではなく、その後のケアこそが本当のスタートです。医師からの指示をしっかり守り、口腔内の健康維持に努めることで、快適で安心できる毎日を送ることができるでしょう。

ブランパ歯科でも装着後2年間は半年毎のチェック、それ以降も年1のチェックを推奨しております。

また私は1995年以来インプラント治療を行っており、欠損補綴にはとても効果の高い治療の選択肢と考えております。

 

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